ステップの難易度ってどのように決まるのでしょうか。
素人目ではどの選手も同じように見えます。
浅田選手のステップは以前より良くなったという声が聞かれます。
安藤選手もステップに力を入れてるみたいですよね。
ステップって重要なんですか?
ステップ・シークエンスは、スケーティングの技術を見せるには一番重要だと思います。ステップの得点だけではなく、構成点にも大きく影響するところでしょう。
ステップ・シークエンスの要素は、まずターンとステップがあります。
シングルでは
ターンの種類は、スリー、ブラケット、ロッカー、カウンター、ループ、ツイズル
ステップの種類には、トウステップ、シャッセ、モホーク、チョクトー、チェンジエッジ、クロスロール
以上が要素としてあり、レベル1からレベル4になるに従って、要求される数が多く、回転の方向の要求が厳しくなります。一言で、同じ距離でバラエティに富んだ構成のほうが難しいですが、レベルが高くなります。
これらの各ステップ・ターンでも難しさに違いがあり、普通はスリーよりもロッカーやカウンターの方が難しいですし、モホークよりチョクトーの方が、難しいです。体の重心を変えなければいけないからです。たとえば、ランビエールがよく入れていた、FOからBOへのロッカー→BOからFOへのカウンターなんてのは、同じFOからFOに戻る動きとしても、ダブルスリー(FOからBI→BIからFO)なんかとは比べものになりません。
加えて、頭・胴・腕の三部分のうち、2つ、レベル4ではすべてを見た目で明らかに使うことが求められます。
浅田選手が去年気をつけていたのは、上体をいかに大きく使うかでしたが、今年のプログラムは動きは激しかったのですが、上体の動きは去年より目立ちませんでしたね。私は、今年のLPのステップで、毒を盛られた人間なのに、なんで頭を後ろに倒してのけぞるような動きを入れなかったのだろう、と思いました。
難易度と言ったときに、まず見るのは、エッジの深さですね。どれだけ体を倒して、大きいカーブでターンしているか、という点では安藤選手は秀でていると思います。キムヨナもその点では、深いエッジワークを見せていると思います。
次に、スピードが重要で、ターンやステップを繰り返しているうちに、減速していってしまうより、速いスピードを維持したり、加速していったりするのが難しいでしょう。鈴木選手の今年のLPは、音楽に合わせてどんどん速くなっていきましたが、見ごたえがあると思います。
あとは音楽に合わせて表現できるか、が重要でしょう。いくら難しいステップをしていても、音楽とばらばらであれば評価は低いですし、プログラム全体の中でステップがどのような位置を占めるかも重要でしょう。高橋大輔のヒップホップは、あの音楽だからあの動きであって、クラシックであの動きをしたら変ですし、音楽とのタイミングも合いにくいでしょう。浅田真央の今年のLPは、舞踏会だったのでツイズルやループなどの回転系が目立つようなステップにしていたのだと思います。ただ一本調子に力強すぎて、優雅だったかどうかは意見が分かれるかもしれません。
個人的に、浅田選手は、ステップ・シークエンスに関しては、去年の方がよかったのではないかと思います。安藤選手は、スケート・アメリカではまだ未完成でしたから、大丈夫か、と思いましたが、世界選手権で見たら、エッジワークもしっかりして、音楽にも合っている、良いステップだったと思います。
ステップは、組み合わせ次第で可能性が無限に広がるので、私は一番好きで、はまって見ています。オリジナリティにあふれるといえば、高橋大輔のヒップホップが挙げられますが、逆にヤグディンの流れを踏んでいるジュベールも面白い試みをいろいろ入れてますね。ただジュベールの場合は、ヤグディンの印象が強すぎて、自分の色を出し切れていないのが残念です。
将来的にプロになったとき、たとえジャンプが跳べなくなっても、ステップだけで観客を魅了できるスケーターが本当に優れたスケーターだと、私は思います。
ステップはプログラムを一番表現できるエレメンツですから、そのステップを強化することによって、スケーティングスキルの高いところを見てもらったり、音楽表現の評価を高く受けられるようになります。
プログラムの最後に持ってくる選手が多いのも、ステップでプログラムを印象付けて、いい得点を出してもらおうというところでしょう。
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